思春期とデジタル社会

 8月19・20日に開催されたNPO法人子どもとメディア主催のフォーラム2日目の報告です。

 

 基調講演は島根大学の人間科学部教授、島根大学こころとそだちの相談センター長、岩宮恵子さんでした。

 島根大学の相談センターは年間7000件以上(国内トップ)の相談があるそうで、臨床心理士でもある岩宮さんの存在が大きいのではとの印象を受けました。

 

2日目の基調講演

 島根大学人間科学部教授 岩宮恵子さんによる
 「思春期とデジタル社会~ネット社会の中の思春期の子どもの心~」

 

【メッセージ】

 思春期の問題は、そのまま人間として捉えられます。ネットなしでは生活できない状況と、思春期の心の性質である「思春期心性」の関係についてお話できればと思います。

 

お話の中から:

 仮面というのは個性を消す、SNSでは「匿名」ということ。指先殺人、SNSのパワーは人を殺す力を持っている。

 ・呪詛…いやな目に合う

 ・祝福…いやな目に合わない

 

 わからないことが多く、理解ができない未消化の部分もありましたが、「異界」へのアプローチは確実にできました。

 

 岩宮さんの高校生向けの本です。当日会場で買い、今読んでいるところです。

 

 序章に機動戦士ガンダムの作者富野由悠季による「海のトリトン」という作品が出て来ます。その作品に思春期の頃、衝撃を受けられたようです。

 

 アニメを通して、思春期の心の不安を解説し、大人のかかわりを俯瞰し乗り越えていく様子を書いてあります。

 

 その示唆がとても分かりやすく的確で、宮崎駿氏のアニメがこんなにも深い作品だったのかと驚くばかりです。

 

 本の中で紹介されている作品は

  • となりのトトロ
  • 千と千尋の神隠し
  • もののけ姫
  • 魔女の宅急便
  • ハウルの動く城

 岩宮さんはとても雰囲気のある方で「銀河999」に出てくるメーテルのようでした。全身真っ黒の装い、長いストレートの髪型、靴も厚底のサンダル。話し方も、元漫画家志望らしく落ち着いた柔らかい雰囲気。

 

 2日間のフォーラム、現代社会の影の部分の見方、奥深いファンタジーなど学びの多い2日間のフォーラムでした。衝撃的な内容もありましたが、人とのかかわりの基本をしっかりしていれば乗り越えられそう、という希望も感じました。