14日の夜、NHKの番組で氷川きよしが「一本の鉛筆」を歌うのを見ました。熱唱です。心に深く響きました。
この歌は美空ひばりが歌った唯一の反戦歌だそうです。その歌詞の中で私にザラ紙があれば子供が欲しい、あなたをかえしてと書くというくだりで、長崎の平和の誓いを発表された岡信子さんのことが脳裏に浮かびました。
新聞社の取材で、「平和の誓い」にはなかった若い2人のことを述べてあるのを思い出したのです。
『皮膚の垂れ下がった若い男性が、大の字で亡くなった黒焦げの女性の下半身をがれきで隠していた。帰り道、男性は女性に手を伸ばしたまま息絶えていた。まだ温かい男性の手を取って黒焦げの女性の手に重ね、天国での2人の幸せを願った。』
若い2人への切ない気持ち。92歳の今まで封印されてきた深い悲しみと怒り。黒焦げの2人の姿が黒いシルエットになって私の胸に深く刻まれていました。
一本の鉛筆(松山善三作)の歌詞を転載させてもらいます。
あなたに 聞いてもらいたい
あなたに 読んでもらいたい
あなたに 歌ってもらいたい
あなたに 信じてもらいたい
一本の鉛筆が あれば
私はあなたへの 愛を書く
一本の鉛筆が あれば
戦争はいやだと 私は書く
あなたに 愛をおくりたい
あなたに 夢をおくりたい
あなたに 春をおくりたい
あなたに 世界をおくりたい
一枚のザラ紙が あれば
私は子供が 欲しいと書く
一枚のザラ紙が あれば
あなたをかえしてと 私は書く
一本の鉛筆が あれば
八月六日の 朝と書く
一本の鉛筆が あれば
人間のいのちと 私は書く
シンプルさが、却って心に染み込みます。静かに反戦を誓います。