学校給食に見る日韓に違い

 8月7日の毎日新聞の記事です。

 

 今、日韓関係が非常に厳しい時なのであえてこの記事で韓国という国の別の一面がわかればと思い、紹介することにしました。韓国では学校給食に有機又は無農薬栽培による「親環境農産物」が積極的に使われている、学校給食用の食材の6割がこの農産物だという報告です。当然農業の無農薬・減農薬栽培、有機化が進んでいるということになると思います。

 

 キーワードは2つ

①学校給食の無償化

②農産物の有機又は無農薬栽培

 

①の無償化に関して農林水産省では学校給食に限定し、有機農産物の供給量を増やすような支援策は行っていないので、現在国からの補助はなく自治体独自の政策となります。全部粕屋町負担となれば、現在小・中学校の給食費は私会計で総額2億円規模なのでその予算が必要です。これを教育委員会が全額負担するのはとても厳しく、現在での実践は難しいと思われます。

 

 韓国の場合、給食の無償化は国レベルで進んでおり、それに有機又は無農薬栽培による「親環境農産物」が積極的に使われているという報告です。

 

②の農産物の有機又は無農薬栽培に関して韓国の場合は、増え続ける安価の農作物との差別化を図ろうと1997年に親環境農業育成法を制定。政府主導で生産振興を図りましたが供給が需要を上回りダブついていたところ、学校給食にこの新環境農産物を使う自治体が増えたことで需要低迷に風穴を開けたとあります。

 

 日本でも自校方式で地域の農産物を食材に使うところがあり、そこは当然、有機又は無農薬、減農薬栽培の食材を使っていると思いますが、数は全体の6%ということです。

 

 この新聞記事を執筆された農業ジャーナリストの青山浩子さんは韓国では2018年の選挙の際にこの問題が大きな争点となったと書いて、日本の場合、さきの参議院選で農業や食が全くと言っていいほど争点にならなかったということを対比し、うらやましくもあると述べておられます。

 

 私は持続可能な開発のための目標(SDGs)を考えた時に、環境、食、教育という観点からもう少しこれら2つの課題(学校給食、農産物の無農薬栽培)に焦点が集ってもいいのではないかと思いました。

 

 そういう意味で韓国のこの取り組みはすばらしく、教育施策が国の方向に好循環を与えている例と感じました。世界でも、特に北欧、イタリアは無償化の動きは進んでいるようです。韓国から学べるところは学びたいなと思いました。

 

 給食センター建設問題で、廃棄物処理にこだわるのもありでしょうが、次のステップとして給食の「質」ということも視野に入れて考えていかねばと思わされた次第です。