ひとつの峠

3月9日は中学校の卒業式だった。

素敵な、しかも厳粛な式で涙、涙・・・

 

PTAの会長さんがステーヴ・ジョブスの言葉を贈られた。

「心と直感に耳を傾け、従い、なりたい自分になれることを祈っています。」

 

一人ひとり名前を呼ばれて返事をするのですが、返事のない生徒さんのことが気になりました。

 

何らかの事情で共に座れなかった君へ。

 

今はヒロー・ヒロインになれなくてもいつか必ずなれる日が来る。ただ大舞台じゃないかもしれない。

 

 70年も生きてきたらいろんな人生があるってわかるんだ。10代の成功なんてむしろ邪魔もの。挫折・失敗を繰り返し人は強くなる。年月を頼りに、心と直感に耳を傾けて正直に生きてね!

 

 私の大切な友の一人は学校にほとんど行っていないのに、なぜか学校司書の仕事をしている。本が大好きなんだ。学校を知らないので学校になれるのに時間がかかったようだけど。

 

 私も本当にやりたいことは57の時に見つかった。心の声に耳を傾けたの。議員に立候補するのはとても勇気が言ったけど、もともと失敗には慣れているので自分の気持ちを優先したってわけ。生まれた場所への愛着が強かったこともある。

 

 今もいろんなことがある。押しつぶされそうなときもあるよ。でもやりたい気持ちのほうが強くて13年、何とかこなしてきた。一般質問は52回登壇、一度も休んでいない。これは誇りだ。でも正直、みっともないことも多かった。たぶんこれからもね。それでいい。

 

 いくつの峠を越えてきただろう。最初の峠はいつだったか覚えていないけれど辛さは体が覚えている。若い時ほどその峠は高く、高く山のように思えた。でも歩くのをやめなければいつしか乗り越えられた。

 

 今年84になる友がいる。彼女は私より元気で、いつもはっぱをかけられる。向こう見ずでおっちょこちょいの私を気にかけて暖かく見守ってくれる。彼女の人生は多分壮絶だったはず。でもいつも瞳が優しい。そんな人に私もなれたらなあー。