「捨」

 庭の日本水仙です。

 久しぶりの快晴。朝の光を浴びてまっすぐに、清らかに咲いていました。この種は香りが強く、水仙の中では最も好きな、夫と私の思い出の花です。

 

 がんを発症して入院した時にこの花を持って毎日お見舞いに行っていました。一時命が危ぶまれた時があり、この香りがその当時のことを蘇らせてくれ、時に抱く夫への不平不満解消の一役にもなっています。

 

 羽生結弦選手のインタビューの中に「捨てる」という言葉がありました。すべてを捨てて、氷上に戻り勝利を得ることだけを考えた、と。ソチでの王者のまさかの骨折、1週間前にやっとスケートリンクに立ったとか、何ができて何ができないのか、練りに練って苦しみぬいた末での結論。

 

 【難度を下げ、執念で頂点】と新聞の見出しにありましたが、完成度と総合力で勝ち取った栄冠、「自分に勝った!」と叫んでましたね。素晴らしかった。