左の図は武雄市の図書館をリニューアルするときに市民にアンケート調査を行い、図書館の蔵書に関しての内容をグラフにしたという表です。下の写真の「図書館が街を創る」という本の「雑誌」の章に掲載されていました。雑誌が49名と最も多いようになっています。一番希望が少なかったのが新聞で2~3名のようですね。
アンケートに答えた数があまり多くないので何とも言えないのですが、この表を前面に出して武雄市図書館は『画期的試みを行っている。以前は107タイトルだったが現在は600タイトル以上の雑誌を取り扱っている』、『でもそれは図書館の資料ではなくて販売のための商品で館内では自由に手に取ることができる、しかも販売が前提なために1タイトルにつき何冊もが平台に並ぶ』とありました。
何か変ではありませんか? 600タイトル(種類)の、平積みにされた、自由に手にとってみることができる雑誌はあくまでも蔦屋の商品なのです。したがって、図書館資料としての登録はないと思うし、蔵書検索してもヒットしないと思います。
1階の奥の部屋に雑誌コーナーがありますが、そこの24タイトル(種類)の雑誌が、図書館貸出対象の資料として所蔵されているものでした。CD,DVDなどの棚も近くにありますが所蔵わずかに1000資料。
図書館入口の蘭学館を改修して作られた円形のメディアルームにはアルバム3万枚50万曲を取りそろえた、と先ほどの本に載っていました。確認できていませんがこれはあくまでも蔦屋のレンタル用のものではないでしょうか。
粕屋町の図書館の雑誌は252タイトル、AV資料は10,057です。資料費が限られているので、司書が厳選したもので1タイトルにつき1冊ですが、雑誌類は3~5年間はバックナンバーとして保管しいつでも貸出OKです。聞くところによると武雄市図書館は雑誌のバックナンバーの保管がこの4月からのものだけのようです。あくまでも「今」志向のようですね。
現在発行の主な雑誌のすべてを網羅して平積みにして、それを自由に手にとってみることができる魅力は素晴らしいものがありますが、自宅でじっくり読むためには購入しないとだめなのです。これって公共図書館サービスって言えるのでしょうか。
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金の髭 (水曜日, 31 7月 2013 04:13)
お察しのとおり、その本にある
「図書館入口の蘭学館を改修して作られた円形のメディアルームには
アルバム3万枚50万曲を取りそろえた」
という記述は、蔦屋書店のレンタル商品のことです。
ただのレンタル店の在庫をまるで図書館資料であるかのように
説明し、誤認させようとする姿は、あまりにも異様です。
それを鵜呑みにして報道したメディアもありました。
なお、図書館所蔵の視聴覚資料について、改装前と改装後の変化を
調べてくださった方がいるのですが、その方の調査によると、
http://twitter.com/baked_pudding/status/357526353282744320
『「VHSが中心だった映像作品2600枚を」766枚(756タイトル)に、
「CDも1600枚から」319枚に減らした。』
ということのようです。
CCC社(蔦屋)のレンタル店を入れて利益を上げるためには、
図書館の視聴覚資料を減らしてレンタルに誘導する必要があったのでしょう。
武雄市にはそれなりに大きな規模のツタヤ武雄店が以前から存在していました。
別のレンタル店は、売り上げが1,2割落ちたと悲鳴を上げています。
図書館らしい資料を置くので、品揃えが重複しないようにするといった、
あまりにも軽い口約束は、完全に反故にされています。
なお、武雄市図書館のスターバックスや蔦屋書店は、武雄市から行政財産の
目的外使用許可を得て、賃料を支払って営業していますが、
その賃料は市長の判断により2分の1に減免されていることがわかっています。
公共図書館という、人が集まるベストポジションを格安で借り受けていますので
他店よりも有利な条件で営業しているとも言えるでしょう。
レンタル店にしても、書店にしても、カフェにしても、
行政が積極的に過当競争状態を作り出し、小さな購買層を奪い合うような
施策を促進し、あまつさえ1社に過度に肩入れするのは異常だと考えています。