記録が示すインパール作戦の実態

 8月15日のNHKテレビ番組「戦慄のインパール作戦」を見ました。記録からよみがえる当時の作戦の無謀さ。                

  

 従軍兵士の6割が餓死・病死だったという。しかも撤退後に集中。

 最初から物資補給が無理ということが分かっていてもあえて強行。

 なぜこんなことがあり得るのか、なぜこの実態が今まで明らかにならなかったのか、戦後処理の追及は及ばなかったのか、考えさせられた。

 

 斎藤博圀少尉の記録が生々しい。ケンブリッジ大学の書庫から見つかった、当時のイギリス軍による尋問や資料などの記録をもとに製作された番組のようだった。

 

 戦争の悲惨さよりも、72年もたたないとこのような事実が公表されず、しかも責任をだれも取っていないという日本という国の現実に驚愕。

 

 なぜ憲法9条の「戦争の放棄、武力を行使しない」がこの国際社会で一度も改正されることなく存続できたか、やっとわかった気がする。多くの戦争体験者がこの戦争の無謀さを肌で知り、強い願いとなっていたのだ。

 

 粕屋町立歴史資料館で「戦争絵画展」をNPO笑和「命と人の尊厳を守る会」が主催した。代表の小川勇二さんが香椎高校の後輩ということで付き合わさせられた。「先輩、先輩」と入院前の忙しい時に上手にこき使われた。しかし良い企画だった。戦争体験者が、自分の手筆で当時の実情を書き記したもののパネルを、広島・長崎・沖縄の各平和資料館から借り受け、展示。

 

 展示を手伝ううちにその思いの強さに強く反応できる自分を発見。実は今までこういう展示・新聞記事・テレビ番組の多くは、当然見なければならない、知らなければならないというこちら側の良識・情に訴える手法が見え隠れするものが感じられ抵抗があった。

 

 でもこの戦争絵画展の50近くのパネルは違った。真実を伝えようとする市民の思いが何物にも先行していた。そして素直に伝わり、その悲惨さに心を痛める自分がいた。正直嬉しかった。

 

 今回のテレビ番組も、戦後のイギリス軍の、日本の軍隊の作戦を指揮した司令官の証言、従事した軍人の記録が土台で、ストレートにその無謀さが伝わった。斎藤博圀という方の知り合いの情報なのか、回想録が存在するのか、NHKの番組作り過程でケンブリッジ大学の書庫の情報を得たのか、イギリスからの情報なのかとても興味がある。

 

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コメント: 5
  • #1

    ゆうじ (水曜日, 16 8月 2017 19:58)

    前略 インパール作戦で戦死した 小川 擴 の遺族です。 真実を知って頂き、本人は大変に感謝していると思います。 一番ありがたいお供養をして頂き、ありがとうございました。 今回このNHK番組では、撤退が始まってからを中心とした構成となっていて、インパール作戦・前半の悲劇『菊18師団』については情報を得ることが出来ませんでした。 この師団は、福岡・熊本を中心とする精鋭部隊であったと聴かされて参りました。 この場を借りて、ご覧の皆様にお願いです。 『第18師団:菊兵団』ご存知の方は、何卒お書込み頂きますか、ご一報くださいますようお願い申し上げます。 微力ながら語り部したい 粕屋町の松岡修造 より…。 草々

  • #2

    ゆうじ (水曜日, 16 8月 2017 22:39)

    今しがた…、やっと全てのコメントに目を通すことが出来ました。 今まで気づかずに申し訳ありませんでした。 小学校の授業で『多数決の原理』という学習をしたことを今でも覚えています。 いじめ問題やインパール作戦も議会も全て同じで、人の意見に耳を傾け最善の方策を見つけ出す事こそ真の民主主義であり、少数派の意見にも最大限の配慮をした決定が人道であり、多数者が数の力で押し付けるのは非人道的であるということを知りました。 どのような結果になるか私には分かりませんが、非人道的なやりかただけは許しがたく、切に平和的な解決を願います。

  • #3

    本田よしえ (木曜日, 17 8月 2017 10:10)

    ゆうじさま、16日の分とそれ以前の分に目を通していただいたてのコメントありがとうございます。NHKの番組はとても見応えがありました。
     けれども後でよく考えると、それは粕屋町歴史資料館で開催された「ながさき・ひろしま絵画展」に少し関わらせていただいた経緯があったからかもしれないなと思っています。タイムリーな企画でしたね。今の日本では不必要な情報がありすぎて、日常に押し流されそうで怖いです。忘れそうになりますが、過去・現在・未来、その未来をつくるのは現在に生きている私たち。現代史を作っているということを忘れないように一日一日闘いましょう!
     ブログに日々の思いを綴ることも流されそうな自分への戒めかなとも思っていましたが、こうしてみると支えにもなっていますね。 ありがとうございました。

  • #4

    ゆうじ (木曜日, 17 8月 2017 21:01)

    絵画展の成功の後、思ったこと…。 先輩に術前に無理させてゴメンナサイ! でも、時間が足りないと感じた時の方が、人はアドレナリン全開になるような気がしました。 そして、それが本人にとって至福であれば・・・、心地よいストレスとなり、健康に近づけるような気がしました。

  • #5

    ゆうじ (土曜日, 16 9月 2017 16:04)

    上記をご覧の皆様へ・・・
    本日、とても好感が持てる掲示板の取り組みを発見できました!

    ホームページ http://www.kcnet.ne.jp/~kubota/

    掲示板ページ http://6001.teacup.com/konosuke/bbs